アメリカの印刷業界の動向から見る印刷会社のステップ

 


印刷白書2015にはアメリカの印刷産業に関することが明記されていました。

アメリカの商業印刷物出荷額は2000年~2013年の13年間で1,422億ドルから
782億ドルへと約45%減少しました。
同時期に日本の印刷産業出荷額は、約32%の減少で、一概には比較できませんが
アメリカの印刷産業は日本よりも厳しい状況だと言えます。

特に大きく減少しているのはアメリカも日本も雑誌やカタログ、折込チラシ関連、
販促資料(パンフレット)などです。

市場規模縮小の理由として印刷関連に関わるコンサルティングビジネスを手掛けている
ジョー・ウェブ氏は、デジタルメディアの代替が進んだことを挙げています。
デジタルメディアの代替に至る一部例を挙げると
・独立したデザイナーがデジタルメディアを活用し、印刷物に変わる提案をし始めている
・印刷物は郵便料金高騰により、流通コストが高価になっているため、
 安価なデジタルメディアのほうが良い
 などがあります。

一方で、アメリカ印刷産業の利益は2009年後半を底に徐々に回復傾向にあります。

なぜならば、業績の悪い企業が市場から撤退・淘汰される一方、健全な企業がシェアを
拡大した結果、残存者利益を享受し、一見すると数字が上がっている、とも考えられるからです。

では、厳しい環境下でも時流適応している印刷会社とはどういった会社なのでしょうか?
以下の3つのパターンで変化が起きていると分析しております。

1.弱い企業が淘汰・整理され、印刷ユーザーのニーズを熟知している印刷会社に
  仕事が集まってきている

2.デジタル技術に精通したオーナー・役員への世代交代が進み、印刷物に代わって
  デジタルメディア商品を提案している

3.古い営業テクニックが通用しなくなり、進化したビジネステクニックを多くの企業が
  使うようになってきている
(※広告クリニック ビーンズ21調べ。)www.beans21.com


2013年までの長期的な傾向から分かることとして、デジタルメディアの代替により印刷市場が
縮小してきたことは間違いありません。

そして、このような時流の中で、世代交代が進み、新たなメディア戦略に長けた印刷会社経営者が
事業領域を変える中で生き残ろうとしていることも見えてきます。

したがって、今後の印刷会社の経営においては、
1.従来型の印刷業に捉われてはいけない
2.従来的な印刷のための設備や雇用を増やすのではなく、付帯サービスや隣接市場での
  チャンスを見つける
3.デジタルメディアを取り入れ、新しい業態に変えていく

という3つのステップで経営していくことが求められるでしょう。